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低コスト・インデックスファンドシリーズの競争激化、最低水準の引き下げに加え品揃えの拡充も一段と進む

2023/05/29 17:09

 ニッセイアセットマネジメントが5月29日、<購入・換金手数料なし>シリーズのインデックスファンド4本について信託報酬の引き下げを発表した。これによって、先行して引き下げた「たわらノーロード」、「eMAXIS Slim」シリーズに並ぶ業界最低水準の信託報酬率になった。6月8日には、同じように業界最低水準の手数料率をめざす「SBI・V」シリーズから、新興国株式インデックスで3シリーズの水準を一段と引き下げる新ファンドが設定される。2024年1月にスタートする「新NISA」において、低コストのインデックスファンドは制度で活用される主力のファンドになると目されており、年0.1%台という非常に低い水準で繰り広げられる信託報酬率の最低水準争いに拍車がかかってきた。

 <購入・換金手数料なし>シリーズで、主力の先進国株式インデックスファンド「ニッセイ外国株式インデックスファンド」は従来の0.1023%(税込み)以内を0.09889%以内にする。「ニッセイTOPIXインデックスファンド」と「ニッセイ日経平均インデックスファンド」は0.154%以内を0.143%以内、「ニッセイ新興国インデックスファンド」は、0.2079%を0.1859%にする。2023年6月14日付で変更する。

 同ファンドシリーズは、2013年12月の設定以来、113カ月連続で資金流入が続き、2023年5月現在でファンド数15ファンド、シリーズ残高合計6000億円を超える規模に成長した。ファンドの名称の通り、ノーロード(購入時手数料無料)、かつ、低コストのインデックスファンドシリーズの草分け的な存在で、つみたて投資によって着実にファンドの残高を伸ばしてきた。現在のところ、同シリーズに加え、「たわらノーロード」、「eMAXIS Slim」の3シリーズが、国内株、先進国株、新興国株という主要なインデックスファンドで最低コストの信託報酬率で並ぶシリーズになっている。その中では、「たわらノーロード」シリーズが2023年4月に先行して信託報酬率を引き下げたが、翌5月には「eMAXIS Slim」シリーズが引き下げを発表し、5月下旬になって<購入・換金手数料なし>シリーズも追随した。

 一方、低コストのインデックスファンドシリーズには、既存の米国上場等のETFを投資対象として円建てのファンドとして提供するシリーズがある。代表格はSBIアセットマネジメントの「SBI・V」シリーズで、米バンガード社のETFを対象に、非常に低い信託報酬率(ETFの報酬も含む実質的な報酬率)で提供するファンド群になっている。6月8日には「SBI・V・新興国株式インデックス・ファンド」が新規設定されるが、この信託報酬率は実質で年0.1438%だ。先の<購入・換金手数料なし>シリーズ等の0.1859%を一段と下回る水準に設定されている。ETFのコストが上乗せされるため、信託報酬率のうち運用会社と販売会社が得る手数料率はそれぞれ0.0242%と、<購入・換金手数料なし>シリーズの0.08%台とは大きく異なる水準になっている。この「SBI・V」シリーズの信託報酬率に、<購入・換金手数料なし>シリーズ等が追随する動きを見せるかどうか注目される。

 「SBI・V」シリーズは6月8日に「世界小型株(除く米国)」、「先進国株式(除く米国)」、「米国小型株」、「米国増配株」など周辺インデックスにシリーズが拡大する。また、同時に「SBI・iシェアーズ」シリーズもスタートし、「ゴールド」、「米国ハイイールド債」、「米国総合債」、「米国短期国債」、「米国投資適格債」など債券も含めたシリーズが加わる。いずれのファンドも信託報酬率が税込みで年0.1%台、または、0.1%を下回るという低コストで提供される。SBIアセットの非常に充実したラインナップになってきた低コストインデックスファンドシリーズは、他のインデックスファンドシリーズを刺激するだろう。今後の低コスト・インデックスファンドシリーズから目が離せなくなってきた。(イメージ写真提供:123RF)