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投信積立の軸足は「全世界株式(オール・カントリー)」=ネット証券の投信積立契約件数ランキング22年12月
2023/01/05 17:03

大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次、22年12月)のトップ3は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」で、前月と同じ結果だったが、前月2位だった「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が1ポイントを上積みして同ポイントでトップになった。その他、トップ10には新興国株式を含む「全世界株式」を対象としたインデックスファンドが3本もランクインし、投信積立の軸足は、従来の米国「S&P500」や「先進国株式インデックス」ではなく、「全世界株式」が主流になった。
ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に次ぐ2位の位置を2021年1月以来、23カ月連続で占めてきたが、初めて「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」にポイントが並んでトップに立った。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は2020年2月以来、ランキングトップの座を守り通しているが、今後もその地位をキープできるかどうか、来月以降のランキングの行方が注目される。
また、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と同様に、新興国を含む全世界の株式を対象としたインデックスファンドは、第6位に「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」、第7位に「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」、そして、同ポイントで第7位に「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」が入り、トップ10のうち4本を占めるまでになった。従来のトップ10は、「S&P500」を筆頭に、「全米株式」、あるいは、「先進国株式」がランキングの上位を占め、米国株式頼みのポートフォリオが主流だった。もちろん、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」であっても、組み入れ国のトップはアメリカで、ポートフォリオの約60%をアメリカ株式が占めていることには違いない。ただ、アメリカ株式100%から、アメリカ株式の比率約70%の「先進国株式」、さらに、アメリカ株式の比率が約60%に低下する「全世界株式」へと、徐々にアメリカ株式の比率を引き下げ、より分散の効いたポートフォリオが主流になりつつあることに注目したい。
2023年は、米国経済がリセッション(景気後退)に落ち込むかどうかが一つの焦点として注目され、その関連で、米国金利がどの程度まで利上げされるのか、そして、利上げ後に高い水準をいつまで維持するのかに関心が高い。もっとも、ウクライナ紛争が長期化している欧州や、依然として利上げへの転換が不透明な日本などと比べると、既に政策金利を4.25%〜4.50%の水準に利上げをしても強い雇用を維持している米国経済は別格の強さがある。株式投資のコアとして米国株式を外すわけにはいかないというのが、多くの投資家の考えにはあるだろう。ポイントは、その米国への投資比率をどうするかだ。約60%とする「全世界株式(オール・カントリー)」が答えとして定着するのかどうか、見守っていきたい。