エミン・ユルマズが語る!国内株式市場の現状と今後 & 15期連続増収の注目企業!テンポイノベーションを独自に深掘り エミン・ユルマズが語る!国内株式市場の現状と今後 & 15期連続増収の注目企業!テンポイノベーションを独自に深掘り

鈴木編集長:
今年は新NISA制度が始まり、日経平均株価が史上最高値を更新するなど、日本の株式市場が盛り上がりました。しかし、およそ半年が経過し、世界的な金利、為替、政治や地政学の動きにより、相場は大きなうねりを見せています。
二部構成でお届けする本日は、第一部でエコノミストのエミン・ユルマズ氏をお迎えし、これからの市場の動向についてお伺いします。第二部では、注目企業として15期連続増収を達成されている東証プライム市場上場のテンポイノベーションの原康雄社長に経営者の立場から事業の特徴や増収を続けられている秘訣などをお話し頂きます。

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第一部 日本の株式市場の現状と今後について

鈴木編集長:
2024年も半年が経過しました。年初にはNISA制度の改革もあり、新たな投資家も増えていると思います。何よりも日経平均株価が34年ぶりに高値を更新するという記録的な年になりました。現在、足元の日経平均は3万8,000円台とやや落ち着きを見せています。現在の日本市場についてエミンさんはどのようなお考えをお持ちでしょうか?
エミン氏:
本当にすごい年です。まだ半年も過ぎていませんが、4万円台に到達しました。これが大きなポイントです。今までの日経平均株価が大台を達成した時のパターンを見てみると、例えば、リーマンショック後に初めて2万円台に乗ったのは2015年です。2021年に3万円台に初めて到達した時も同様で、大台達成後は達成感から売りが出やすくなります。これは心理的な側面ですが、人々が新しい数字に慣れるまでには時間がかかります。現在も同様の心理的調整局面にあり、4万円に到達しては跳ね返される過程を繰り返しながら、人々が4万円という数字に慣れていくと考えられます。アメリカ大統領選挙の前後で大きな調整が入る可能性もありますが、来年2月頃には政治情勢も落ち着き、次のステージ、つまり4万円から5万円への上昇を目指せるのではないかと考えています。
現在の市場の動きは不自然ではなく、自然な動きだと考えています。ある程度高いレベルに到達した後は、次のステージやピークを目指す前に一旦休息が必要であり、その意味で自然な動きをしていると考えています。
鈴木編集長:
ここまでどのような銘柄が日経平均をけん引してきたのでしょうか?
エミン氏:
これには明確な答えがあります。TOPIXの各指数で一番上昇しているのはTOPIX Core30ですね。Core30っていうのは、TOPIXの2,000社以上の構成銘柄の中で、時価総額が高い30社のことです。一方で、TOPIX Mid400や、TOPIX SmallはいずれもTOPIXをアンダーパフォームしているので、やはり大型株中心に上昇してきたと考えられます。もう一つはMSCIジャパンのバリュー株指数とグロース株指数の動きを見ると、日本は明らかにグロースよりもバリューが上昇しています。その背景にあるのはPBR1倍割れを改善しようという、東証の働きかけがありました。また、円安が進んだため、例えば輸送用機器、輸出関連というのは非常に強かったといえます。日本の半導体製造装置など半導体関連も、特にAI関連のところは今でも元気ですね。
鈴木編集長:
 大型株や半導体関連株は上昇してきましたが、今から日本株に投資するのは割高ではないでしょうか?
エミン氏:
 日本株全体で言うとPERが16倍、米国株がPER20倍を超えており割高ではないと思います。例えばAI関連など局所的に割高なところはあるかもしれませんが、今まで上がってきたバリュー株にしてもまだまだ低いです。PBRが1倍割れしている大きな企業も結構あります。
鈴木編集長:
新NISAが始まり、積み立て投資枠でいわゆるオールカントリーやS&P500など(インデックス投資)が流行っていますが、おすすめの投資戦略はありますか?
エミン氏:
オルカンやS&P500は私は悪いとは思っていません。ただ明らかにS&P500は割高だと思っています。米国株は一極集中しており、例えば、1月から6月までのS&P500の上昇分の40%以上はNVIDIAからきています。
今は円安ですが、これが大きく円高になってさらにリスクオフが進んだ場合、ドルコスト平均法をしていても見た目としては資産が半分になったように見え、心理的に良くないと思います。無理に為替リスクを取る必要はなく、日本株と外貨建て資産を半々にするなどして分散を効かせ、外貨建て資産に偏らないようにすると良いと思います。
鈴木編集長:
お勧めの銘柄などはありますか?
エミン氏:
日経平均やTOPIXなど指数の積み立てで良いと思います。アクティブで運用する部分、成長枠の部分については、時価総額が小さな銘柄が過小評価されていることから、長期投資で非課税であれば、日本の中小型株が良いと思っています。米国も同じで、ラッセル2000はS&P500をアンダーパフォームしていて、S&P500の中でも先ほど述べた通りメガキャップ(超大型株)といわれているようなGAFAやNVIDIA、テスラを除いてはあまり良くありません。また、トレンドとしてパッシブ運用の影響もあるのではないかと思います。こうした状況が転換するタイミングとしては、3、4年に1度、遅くても5年に1度ぐらいは中小型の大相場があると思います。
鈴木編集長:
そうした中で、リスクはどのように見ていますか?
エミン氏:
2024年は選挙イヤーで、政治リスクはあると思います。また、地政学的な問題では、イスラエルとハマスの問題も解決しておらず、ロシアとウクライナの戦争も続いており、かなり荒れています。
鈴木編集長:
円安進行についてはいかがでしょうか?
エミン氏:
米経済がノーランディングもしくはソフトランディングという形になって、さらにインフレが収まらないとなると、米国は今後も高金利を維持、もしくは利上げをしなければなりません。一方日本では、本格的な金融引き締めは難しいと思われ、さらに円安を悪化させる可能性があります。その逆のケースでは、米国で金融危機が発生したり、地政学リスクが高まるような場合は、急速な円高になると予想されます。このように為替が不安定化するリスクはあると思います。

第二部 注目の成長企業!テンポイノベーション代表への特別インタビュー

鈴木編集長:
第二部では、15期連続の増収企業として成長性に注目が集まる東証プライム上場のテンポイノベーションの原康雄社長にお越しいただき、エミン氏と共に深堀りをさせていただきます。
まず、ユニークなストック型ビジネスである店舗転貸借事業の事業内容と特徴についてお聞かせください。
原社長:
テンポイノベーションは不動産会社ですが、一般的な不動産会社が行う仲介業や管理業は行わず、店舗の転貸借事業に特化しています。店舗転貸借事業は、不動産オーナーから賃借した物件を店舗出店者に転貸する事業です。東京の都心が中心で、転貸先の9割が飲食企業となります。創業から20年で、現在の取り扱い物件数は約2,500件と、スターバックスさんの日本店舗数より多くの店舗物件を扱っています。収益構造は、物件を借りて転貸する際に差益が生じます。毎年例えば200件、300件と新規で契約すると、それが積み上がる強固なストックビジネスといえますので、事業自体は、成長性と安定性に非常に長けているといえます。店舗物件、特に一階路面店の物件情報は通常リアルタイムに入ってこないのですが、当社が日々営業を行うことによって、都心の魅力のある店舗物件情報をどんどん取得し、店を出したい方に提供しています。
エミン氏:
おっしゃる通りで、都内で飲食店の良い物件を探そうとしても、見つからない、コネなどがないと紹介してもらえないと聞きます。ビジネスモデルとしてすごく面白いのは、ある意味クレジットカードのVISAのようなことをしていると思います。信用取引をする際に、間にカード会社があるからこそ、店と顧客は安心して取引ができるのと同じです。
原社長:
収益を上げることも大切ですが、取引先に対して安心安全をいかに提供できるかというところがビジネスの中心と考えています。
鈴木編集長:
居抜きの活用も特徴ですね?
原社長:
そうですね。飲食店を出店する時には非常に大きな費用が掛かります。店舗の場合はスケルトンと言われるコンクリートむき出し状態で、基本的に契約します。そこから厨房を入れたり、内装などの全てを、店を出す方が負担しなければなりません。居抜きはコスト抑制のメリットがあります。
鈴木編集長:
連続増収を続けており、直近の24年3月期も増収を達成しています。一方前期は減益となりましたが、こちらの状況を教えてください。
原社長:
前々期までは11期連続の増収増益で、コロナ禍も基本的に増収増益を維持してきました。今後さらに会社を伸ばすため先行投資という意味で、例えば人の採用やDX化・システム化により販管費が増加したことが減益の背景です。10年後のための先行投資を前期と今期でやっているとご認識いただけたらと思います。
鈴木編集長:
次の飛躍のための準備期間ということですね。今年10月に実施予定の持株会社化の目的をお聞かせいただけますでしょうか?
原社長:
分社化がメインとなります。店舗転貸借事業に付随する保証事業や、不動産売買事業に芽が出てきており、各事業のアクセルを踏み込む(成長を加速させる)ため分社化を行います。また、人材も育っており、権限移譲の形として、持株会社化や分社化を進めていく目的もあります。野球でいうと、エースや4番がどんどん育ってきているので、チームを増やすイメージです。企業価値を高めていく1つの方法として捉えていただければと思います。
鈴木編集長:
企業価値を高めるための持株会社化ということですね。不動産売買事業と家賃保証事業ですが、こちらは具体的にどのような事業となりますか?
原社長:
不動産売買事業は東京都心の不動産物件、特に事業用を我々が取得して、再販する事業です。グループ内でやるメリットとしては、店舗転貸借事業、不動産売買事業、家賃保証事業には不動産業者という共通の取引先がいます。不動産会社は、物件というよりは、実は有益な情報そのものが商材といえ、当社はそこに食い込むことができていることが強みといえます。また、コロナ禍を契機として、家賃保証は住宅だけではなく、店舗においても商習慣上問題なく適用できることがわかりました。当社には物件管理のノウハウがあることもあり、グループ内で保証事業を手掛ける判断をしました。
鈴木編集長:
ありがとうございました。続いてエミンさん独自の視点で質問をお願いします。
エミン氏:
はい、よろしくお願いします。商業不動産は米国で結構問題になっていますが、東京都内の状況はいかがでしょうか?
原社長:
世界からみても東京の飲食店舗は群を抜いています。お店の売上が上がるということは物件の価値も上がるため、都心のエリアによっては、家賃が少しずつ上がってきています。
エミン氏:
最近どこに行っても外国人ばかりという印象ですが、インバウンドの影響はいかがでしょうか?
原社長:
エリアによって結構分かれています。観光の方やインバウンドの方が来られるところは、単価が上がってきている印象です。基本的には、外国人の方が東京都内に集まってくることによるプラスの効果はたくさんあると思います。
エミン氏:
競合と市場規模について教えてください。
原社長:
競合ですが、組織的に店舗転貸借事業を行っているところは少数です。市場規模は一都三県の飲食店数は16万件程度、東京では8万件程度となります。
エミン氏:
今後のビジョンを教えてください。
原社長:
現在の事業を職人のようにやり続け、物件数を現在の2,500件から5,500件まで増やしたいと考えています。5,500件というのは全体のシェアの5%程度となります。また、グループとして、2030年度までに売上高500億円、営業利益は50億円を目指したいと考えています。
エミン氏:
四季報に「採用コストがかさむ」と記載がありましたが、どの部門を拡充する予定でしょうか?
原社長:
メインは営業部門です。現在50名程度ですが、これを倍の100名に増やす計画です。月に2人程度をコンスタントに採用し、2年後には100名規模となる予定です。100名体制とし、年間で1,000件の契約ができる部隊にしたいと考えています。そうすることで、5,500件に近い将来到達でき、そこからさらにストックが積み上がっていくと思います。前期と今期に利益が調整するため、このビジネスが伸びないと見られる方もいらっしゃるようですが、(先行投資など)中身をみればそういうことでは全くないということですね。
エミン氏:
私の成長企業の定義は、4期で売上がざっと倍になることなので、当社は間違いなくグロース企業、成長企業と思っています。もう一つ、株主還元策について教えてください。
原社長:
配当は今期で1株20円、来期で21円ということで、配当性向で50%程度になります。本来は配当性向45パーセント前後と計画していましたが、前期利益が落ちた分、配当性向が上がったということになります。その中でも、4期連続で増配となっており、優待も500株を1年間保有している株主に対し、「ジェフグルメカード」を1万円分贈呈させていただいています。
エミン氏:
ありがとうございます。四季報を読んでいて何回か気になっていました。定義としてない事業をしているので、非常に面白いと思っていました。社長自ら事業内容とどこに向かうかについてお話いただき、私自身とても参考になりました。
鈴木編集長:
ありがとうございました。最後に、個人投資家に向けてメッセージをお願いします。
原社長:
店舗転貸借事業は、非常に安定性と成長性に長けているビジネスモデルで、これからますます事業は伸びていきます。ご期待して頂き、ご支援の程、よろしくお願いいたします。

掲載期間:2024年7月31日~2024年9月2日

株式新聞 株式会社テンポイノベーション

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