掲載期間:2023年6月21日~2023年7月20日
広済堂ホールディングス<7868>は葬祭セグメント、情報セグメント、人材セグメントの3セグメントで、幅広く事業を展開している。2023年3月期決算は連結売上高367億円(前期比3.7%増)、営業利益42.8億円(同14.8%増)と好調。決算発表後、前期の振り返りと今後の事業環境や見通しについて、同社の黒澤洋史代表取締役社長と、ウエルスアドバイザーの代表取締役社長の朝倉智也が対談した。
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- 朝倉:
- まず御社の事業内容についてお話しいただけますか。
- 黒澤氏:
- 主に3セグメントで事業を展開しています。1つが葬祭セグメントで、東京都内に火葬炉併設の総合斎場6カ所を展開するほか、斎場運営に伴う周辺事業も手掛けています。2つ目は人材セグメントで、東北を中心に展開する『Workin(ワーキン)』という媒体の運営と、人材紹介、エージェントビジネスを行っています。3つ目は祖業である印刷業を中心とした情報セグメントです。現状では印刷事業中心ですが、自治体などから外注するコールセンターを含めたBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業務が急速に伸びている状況です。
- 朝倉:
- 前期決算は増収増益で、素晴らしい結果でした。前期を振り返っていかがですか。
- 黒澤氏:
- 前期決算は大きく2種類の感想を持っています。1つは、葬祭セグメントと情報セグメントで、いい意味で計画通り、ほぼ驚きはない1年でした。一方、人材セグメントについては、成長の可能性を見いだせないものかと、DXの方向にかじを切ってリソースの配置転換をした結果、減益になりました。人材ではチャレンジがうまくいかなかったものの、葬祭のチャレンジでは想定通りの成功を収めることができた、そんな1年だったと思います。
広済堂ホールディングス
代表取締役社長
黒澤 洋史氏
2023年3月期通期 事業セグメント別業績サマリ
- (報告セグメントの利益又は損失の算定方法の変更等について)
当連結会計年度より、報告セグメントごとの経営成績をより適切に評価するため、報告セグメントのセグメント利益に含まれていた各グループ会社の経営指導料を、セグメント利益の調整額に全社費用として計上する方法に変更しております。なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分方法及び利益または損失の算定方法により作成したものを記載しております。
- 出所:広済堂ホールディングス作成
- 朝倉:
- コロナが一区切りついて、葬祭セグメントは変わりましたか。
- 黒澤氏:
- コロナ禍で参列者が減り、葬儀の規模が小さくなったため、花が少なくなり、食事の注文も減少して、一時は想定より売上が下回りました。その反面、火葬をお待ちいただく間に注文いただく飲食物の提供などは計上できました。一方、4月、5月は当社のみならず他社もそうだと思いますが、葬儀の参列者の数が増えてきて、コロナ禍以前に戻りつつあるなという感触は持っています。
ウエルスアドバイザー株式会社
代表取締役社長
朝倉 智也
- 朝倉:
- 火葬場は国や自治体が運営しているというイメージですが、民間で運営している企業は多くないのではないですか。
- 黒澤氏:
- 上場会社では、当社以外に火葬の免許を持っている会社はありません。東京都内で火葬場を運営する民間企業は当社以外に2社あります。民間の斎場8カ所のうち6カ所が当社の運営で、さらに23区のより中央に立地する6カ所を当社が運営しています。それは大きな強みと言えるのではないかと思っています。
- 朝倉:
- 競合がないということは、併設する式場の稼働率はかなり高いのですか。
- 黒澤氏:
- 過去10年近くにわたって稼働率は93%と、実質的に満室以上の感触です。これは改善の必要があると考えており、今年の9月1日から式場の数は現状の35式場から新たに71式場に増やします。これでこれまでのご不便については解消できるのではないかと思っています。
- 朝倉:
- ということは、売上高、利益が倍になるような状況になるのでしょうか。
- 黒澤氏:
- 式場にかかる部分についてはそうなると思います。
- 朝倉:
- 「中期経営計画3.0」では、2025年度までに売上高438億円、営業利益87億円、配当性向30%を目標にされています。重点施策も含めてご説明いただけますか。
- 黒澤氏:
- メインの成長ドライバーとしては、式場を増やすことです。そのインパクトに加えて、今期からセグメントを分け、新セグメントとして注力する資産コンサルティング事業の伸びも加わります。さらに、情報セグメントにおいてコストを重視すること、人材セグメントにおいてあまり芳しくなかったチャレンジをやめて元通りに事業を戻すこと、こうしたことを実施し、中期計画の数字を達成しようと考えています。
中計2.0から3.0への主な変更点
セグメント情報の変更
- 朝倉:
- 御社は民間企業でも、公益を担う、社会性の高い事業ですね。
- 黒澤氏:
- 東京のように、火葬自体を民間が執り行うのは極めて特殊なことで、日本でも他に例がありません。東京の特殊な点としては、例えば当社の火葬場は昨年12月31日に10回転しました。地方では忙しくても3回転ぐらいです。こうしたことから、当社は民間にできるよさを発揮しながら、関係者はもちろん、火葬場を管轄している保健所様ともコミュニケーションをしっかり取り、火葬に関しては非営利という考え方で臨んでいます。その一方で、火葬場の近くでお葬式ができると負担が少なくなりますので、用意している式場を快適に利用してもらうなど、新しいサービスを次々と提供し、その結果として利益も自然に伸びているという感じです。
- 朝倉:
- 御社の場合、火葬炉併設の総合斎場を提供していることが、本当に強みですね。安定した事業であることは間違いなく、さらに安定から上乗せされる成長も見えますので、御社の株主や、これから投資したい投資家の方は大変期待を持っていると思います。そういった皆さんに、メッセージをお願いします。
- 黒澤氏:
- 当社は伸びしろが十分ある中で、安定もしており、株主のご期待に沿えるような事業をやっていると心得ております。また、利用者に喜んでいただくことも大事だと思っており、これからも全力で業務に取り組んでいくつもりです。今後もよろしくお願いします。